|
2017.11.06 22:23
1

「あぁ、君。ちょっと話を聞いていかないか?そう、君だよ、そこの君。 こんな老いぼれの話なんぞつまらないだろうが、すこぅしばかり付き合ってくれても罰は当たらないだろう? わたしはね、これでも昔は有名だったんだ。自慢じゃないが、話すのは得意でね。いつも周りには人だかりが出来ていた。それはもう、わいわいがやがやと、煩いくらい賑やかなもんだった。 あの頃は楽しかったなぁ。ちょっとはヤンチャもしたもんだ。そりゃあ、真面目な時もあったがね。ありゃぁ、今までで一番楽しい時間だったよ。ずうっとそんな時間が続くんだと思ってた。 そう、思ってたんだ。 ところがな、ある時から周りの奴らが離れていった。ひとり、ふたり、最初はちぃとも気づかなかった。だが、いつのまにか周りが静かでね。 その時にふと気づいたんだ。ひとりで喋り続けられないわたしは要らない存在になったんだ、とね。 わたしはなぁんにも変わらないつもりだったんだが、どこかが変わっていたのかもしれないなぁ。まぁ、今となっては、わからないことだがね。 それからは、こうしてひとりでぼんやりと過ごしてたんだが、ここにきて君が通りかかった。人恋しくてな、つい呼び止めてしまったんだ。悪かったね。 もう会うことも無いだろうが、もしまた会えたなら、声を掛けておくれ。 それじゃあ、気を付けてな。」 「え?あぁ、わたしの名前かい? LINEQっていうんだ。ハイカラだろう?」 最後のわたききに書いた作品です。運営さん、見てくださると嬉しいです。